みかん豆知識

シニア野菜ソムリエ 遠山由美さんの「静岡県産みかんの栄養」コラム

機能性表示食品となった「富士山品質!静岡県産みかん」 

「毎日みかんを3個食べると、骨の健康に役立ちますよ」
「みかんが肝臓の健康に役立つという科学的根拠も明らかになってきました」
― こう聞いたら、どう思われるでしょう。

2015年4月にスタートした「機能性表示食品制度」。
この制度で「生鮮食品分野の表示第1号」となったのが、一定の条件を満たした「三ヶ日みかん」※1でした。その後、「とぴあミカン」の申請も受理されたほか、さらに多くの静岡県産みかんで「機能性表示」をすべく準備がすすめられています。

家電製品や衣類でも使われる「機能性」という言葉。
食の分野では「食することで得られるメリット」を指し「栄養素を補給して生命を維持する第1次機能」「おいしさを感じる第2次機能」「身体の働きを調節し、健康の維持・増進に役立つ第3次機能」といった使い方をします。

古来より食のありかたと健康との関係に注目し「柿が赤くなると医者が青くなる」「梅はその日の難のがれ」などの諺を生んだ日本でしたが、科学技術が発達し食品成分の研究が進む中、食品と医薬品を明確に区分する必要が生じ、1971年より「食品は健康・保健効果をうたってはいけない」ことになっていました。

しかし現在「健康長寿」を願う人々の関心は、病気の治療よりも予防に移り「食による健康づくり」への期待は高まるばかりです。

そこで「食の第3次機能」に注目しスタートしたのが「機能性表示食品制度」というわけです。

今までにも例外的に、食品でありながら保健機能をうたえるものとして「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」はありました。が、「機能性表示食品」は、安全性を前提としながら、事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示したもので、個別審査はなく、消費者庁長官に届け出て受理されたものであるという点が、先行した2種とは異なります。

「機能性表示食品」では

  1. どのような科学的根拠に基づいて
  2. どのような人が
  3. どのように摂取すると
  4. どのような機能性があるのか

臨床試験または文献調査の2つの方法で明らかにされています。

「機能性表示食品の静岡県産みかん」では

  1. 2003年に静岡県三ヶ日町(現・浜松市三ヶ日町)でスタートした
    血中β-クリプトキサンチンの濃度と、さまざまな健康指標との関連を明らかにする研究=「三ヶ日町研究」と、臨床試験の一種である「介入試験」に基づいて
  2. 健康な人あるいは骨の健康が気になる人が
  3. ミカンが出回る時期に、1日当たり3個(=可食部270g。β-クリプトキサンチン3mg相当)を目安に、そのまま食べると
  4. β-クリプトキサンチンが、骨代謝のはたらきを助けることにより、骨の健康に役立つ

ことが明らかにされています。

「β-クリプトキサンチン」は橙色の色素で、ニンジンから発見された「βカロテン」やトマトで有名になった「リコピン」と同じカロテン類の仲間。人間の血中には6種類程度のカロテン類が確認されており、抗酸化力の強さでも注目されている成分です。手軽に購入できる食品の中では「温州ミカン」に多く含まれることで知られます。

「骨の代謝」とは、破骨細胞が古い骨を溶かし骨芽細胞が新しい骨を作るという「骨の生まれ変わりシステム」のことです。βークリプトキサンチンは「溶かす」「作る」両方に作用しますが、特に溶かす働きを抑制する機能に優れます。

「機能性表示食品」は消費者庁のウェブサイトで、届出番号ごとに安全性や機能性の根拠に関する情報を確認できますし ※2
販売するには、生産から流通、販売にいたるまですべての段階において十分な品質管理の体制の整備が求められていますので、安全性の高さという点でも魅力的です。
「機能性表示食品・静岡県産みかん」になるのは
「糖度と含有β-クリプトキサンチンの関係が明らかにされた高性能光センサー」で品質を確認したミカンだけ。

たとえ同じ生産者、産地、品種のミカンでも、指定された高性能光センサーを通していないものには表示されません。
表示がないからといって含まれていないとは限りませんが、保証がないため表示できないのです。

また「機能性表示食品・静岡県産みかん」は、「箱」「スタンディングパック」というように、販売する際の形態も届け出たものに限られます。
必要事項を正確に表示する必要がありますし、流通過程で一般の食品と混ざってしまうといったトラブルが発生しては困るからです。

よって、機能性食品表示のあるみかんを使って100%ジュースを作っても、そのジュースに機能性表示食品とは書けません。
箱からだしてザルに盛ったり、オリジナルの箱に詰め直したりした場合にも表示できません。

「健康には関心があるけれど、濃縮したり抽出したりといった加工度の高いものや、食べ慣れない食品を食べることには抵抗がある」。
そんなかたでも、昔から食べ慣れたミカンの価値が科学的に解明され、食べる量の目安がはっきりした、ということなら安心して召し上がれますね。

表示を目印に食品を選ぶことは、セルフメディケ―ションの観点からも素晴らしいことだといえるでしょう。

ただし、食事全体のバランスが悪く基本的な栄養素が不足していたり、身体に悪い生活習慣を放置したままでは、せっかくの機能性食品も力を発揮できません。
その点「ミカン1日270g=3個」といのは、「食事バランスガイド」に描かれた「適切な果物摂取量」と「間食として可能な食品量」を合わせた量より少し少ないくらい。

ミカンには、体内でビタミンAに変わるβ-カロテン、ビタミンC、カリウム、食物繊維など日本人に不足しがちな栄養素も豊富に含まれますから、食事全体のバランスを整えるためにも、「ミカン1日3個」は有効なのです。

食生活や生活習慣の不十分な点を点検しながら、食事全体の栄養バランスを崩さない範囲で上手にとりいれるのが「美味しく、楽しく、嬉しい!『機能性表示食品・静岡県産みかん』」の食べ方です。

長年にわたり美味しく高品質なミカンを安定的に生産し続けてきた静岡県生産者の技術と多くの人々の協力のもと行われた地道な研究成果とが結びつき実現した「機能性表示食品・静岡県産みかん」。

さあみなさん!
今日から1日3個の「富士山品質!静岡県産みかん」で健康長寿を目指しましょう!

なお疾病に罹患しているかたは、医療機関での治療が優先されますので、主治医にご相談ください。

参考文献/もっと詳しく知りたい方は

※1 JAみっかびホームページ
https://mikkabi.ja-shizuoka.or.jp/

※2 消費者庁「機能性表示食品に関する情報」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/

NARO 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究所
機能性をもつ農林水産物・食品開発プロジェクト
「β-クリプトキサンチンの抗メタボ効果等に着目した柑橘及びその加工食品の開発」
http://www.naro.affrc.go.jp/project/f_foodpro/subject/a10.html

※この文章は、平成28年12月現在の情報をもとに執筆しています。

 

遠山由美 氏

シニア野菜ソムリエ
独立行政法人 国立健康・栄養研究所 栄養情報担当者(NR)
(現・一般社団法人日本臨床栄養協会 NR・サプリメントアドバイザー)
フードコーディネーター 1級
食生活アドバイザー
食育プロデューサー
農業・野菜・果物・調理・栄養・美と健康・食文化・食育などの分野で活動中!
料理教室講師多数。新聞・テレビ・ラジオに出演多数。

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